| 税務調査とは、 |
税務運営方針によれば、「適正な自主申告と納税を期待するには、同じような立場にある納税者は、すべて同じように適正に納税義務を果たすということの保証が必要である。
そのため、申告が適正でない納税者については、的確な調査を行って確実にその誤りを是正することに努め、特に大口・悪質な納
税者に対しては、厳正な措置をとるものとする。」と方針が定められている。 |
|
| 各税法の質問検査権は、 |
所得税法では、第234条において 「 国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、所得税に関する調査について必要があるときは、次に掲げる者に質問し、又はその者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査することができる。」と規定し 第1項でその対象者を、「納税義務がある者、納税義務があると認められる者、又は確定損失申告書、準確定申告書等の規定により申告
書を提出した者」としている
相続税法では、第60条において「・・・相続税若しくは贈与税に関する調査又は相続税若しくは贈与税の徴収について必要があるときは、下記の各号に掲げる者に質問し、又は第1号に掲げる者の財産若しくはその財産に関する帳簿書類を検査することができる。」と規定し、第1項では「納税義務者又は納税義務があると認められる者」第2項から第7項まで調査に必要な対象者が掲げられている。
消費税法では、
第62条に、規定される。
法人税法では、
第153条、第154条、に規定される。 |
|
| 受忍の義務 |
| 各税法とも、「・・・当該職員の質問に対して答弁せず若しくは偽りの答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み妨げ若しくは忌避した者」に対して、「1年以下の懲役又
は20万円以下の罰金に処す。」と規定し、質問検査権の行使を担保している。 |
|
| 税務調査の手法 |
| 税務調査は、何万人もの国税職員が日々築き上げる調査統計学上の不正パターンや不正常習業種の膨大なデーターを駆使して調査に臨んでいる。
特に記者発表されている、不正常習業種は、重点的に調査されるのは当然のことである。 |
|
平成15事務年度不正高額及び常習業種(国税庁記者発表より抜粋)
| 所得税 |
1 貸金業 2 風俗業 3 病院 4 バー 5 養豚業 6 焼肉 7 くず金卸売業 8
食肉小売業 9 弁護士 10 産婦人科
|
| 法人税 |
1 バー・クラブ 2 パチンコ 3 廃棄物処理 4 農業・畜産 5 書籍・雑誌販売
6 土木工事 7 一般土木建築工事 8 職別土木建築工事 9 水産食料品製造 10 自動車・自転車販売 |
|
| 具体的な税務調査手順 (法人税調査編) |
数多くの申告者の中から、大口・悪質な調査対象者の選定が求められている。
その基準は、前述した税務運営方針に定められている不正常習法人・不正常習業種・高収益法人・長期未接触法人・実況区分等が土台となり、資料情報や接触年度を総合判断して対象者が絞られていく。
しかし、税務調査の基本は、的確な選定が条件であることにはかわりがない。 |
|
| @ |
事前審理(準備調査)
調査結果を左右する最も重要な作業である。
過去の調査事績の分析
過去数年分の申告書や、関係法人・関係個人の申告書・資料情報等を分析
事業概況書や源泉税の納付状況から、過去3年間を月別に分析
同業他社の不正パターンの分析から調査項目や問題点の所在・調査の方向性を事前に検討しておく作業である。
|
| A |
初動調査
代表者との信頼関係の構築が先決である。
(聞取調査) 経営実態や人・物・金の動きの聞き取り
(現物確認調査)現金や預金・在庫・原始記録等の確認
(現場確認調査)機械の配置や人員・コンピューター等の把握 |
| B |
帳簿調査
事前審理の問題点や要調査項目の解明作業
特異な原価(仕入・労務費・外注費)が売上計上されているかの確認
売上計上されていない場合は、在庫計上されているかの確認
月別試算表より、特異月の把握(利益操作は、試算表から読み取れる。)
原始記録との照合が帳簿調査の基本である。 |
| C |
反面調査
納税者に心理的圧力をかけるが、不審な取引先への確認調査である。
一見取引先・現金取引先・売上や原価・経費の不審な取引先 |
| D |
銀行調査
反面調査の一環であるが、不審な取引に係るお金の流れの確認調査である。
代表者及び家族の預金・借入金の調査で不審な預貯金等の増減の有無の確認 |
| E |
調査のまとめと要是正金額の提示
納税者が納得すれば修正申告のしょうよう
納税者の納得が得られない場合は、更正の準備がなされる。
|
| F |
起案決裁の後
申告是認や更正・加算税の決定通知で調査が終了する |
|
|
| これからの税務調査(総合調査編) |
総合調査とは、
複数税目の観点から課税上問題が伏在する納税者を、調査する部門である が、国家公務員定員削減による調査人員の大幅な減少を見越して、急速に拡大していく
と予測している。
しかし、永年税務調査を経験してきたが、総合調査ほど強力な調査権限は無かったと感じている。
従来、縦割りの税務調査であったため、他部門の所掌する税目には感心が薄く、緊密な連携が必要であったにも拘らず、見過ごされてきた。
例えば、相続税の取引相場のない株式評価や借地権の問題などである。 相続税法には、法人に対する反面調査権限は与えられているが、法人税の調査権限が与えられていないため、法人所得には手が付けられない状況下での調査しか出来なかった。
しかし、総合調査では、あらゆる調査権限が与えられているため、法人税の調査も同時に行 うことが可能となり、法人所得の是正項目も容易に発見できる。
特に重要なのは、相続税の株価評価の基準年度の調査である。 相続税の取引相場のない株価評価には、一物一価の大原則が排除され、一物四価制が敷かれている。そのため、財産評価通達の仕組みを利用すれば、株価評価を著しく下げることも
可能なのである。それらの方法は、相続税の節税本に委ねるとして、これからの調査である総合調査においては、法人税の所得圧縮による過度の節税(脱税)や借地権問題などが大きくクローズアップされていくものと思われる。 |
|
| 各税目の調査事績(国税庁記者発表より抜粋) |
|
15年度調査件数
|
1件当たり
申告漏れ所得
|
1件あたり
追徴本税額
|
| 所得税 |
70,138件
|
723万円
|
153万円
|
| 相続税 |
12,791件
|
3,444万円
|
749万円
|
| 法人税(署所管) |
115千件
|
1,165万円
|
278万円
|
| 法人税(局所管) |
4,429件
|
13,752万円
|
2,941万円
|
|